ふああ、とかわいらしい欠伸を浮かべたのはbambinaではなかった
むしろbambinaは今にも這い出てきそうなその欠伸を必死でかみ殺して
眠気を追い払うべくぎゅうっと目を閉じる
いままで綺麗に並んできたケーキの上の生クリームが、一つ歪に崩れた

「……あぁ…」

せっかくここまで綺麗にできていたのに、残念、以外の形容のしようがない
生クリームごときに今までの努力を残念な結果、一言で片づけられてしまうのは癪に触るが
それ以外のなんともいえない、ため息をつくより仕方無い倦怠感が突然bambinaを襲った

「ねぇ、ばんびな…?…ケーキ、…まだなの…?」

欠伸を我慢すること無く連発しながら眠そうに眼をこすってやってくる姉に少しだけ、ほんのすこしだけ小さなため息を落として
もうすこしですよ、と彼は微笑んだ

朝早くからつもりにつもった雪遊びに夢中だった彼女は、もはやクリスマスの夜を楽しむ気力さえ無いらしい
いますぐケーキを出したところで顔面から生クリームに突っ込んで寝そうだな、
生クリームのデコレーションより酷く残念な姉の顔を想像してbambina思わず目を細めた

「ケーキ、明日の朝にしますか?」
「いまたべる、だって、ばんびな、朝起きないじゃない」

よたよたよろよろとキッチンへやってきたbambinoを見てbambinaはため息をつく
まぁ彼女の言うそれも正論ではあるが、この様子じゃ味も判らないうちにのみ込みそうだ
bambinaはまた一つあくびをする姉に諦めたように小さく微笑んだ

「じゃあ、今食べましょう。デコレーションはすんでないけど、クリスマスの夜に食べてこそクリスマスケーキですからね」

bambinaの優しい声を聞くなり、bambinoは今にも閉じてしまいそうな目を思い切り輝かせて
満面の笑顔を浮かべて大きく一つ頷いた


睡蓮様よりAdvent calendar projectで戴きました