…重い急に肩にかけて重くなった気がする。
おかしい、路地裏を歩いていたはずなのに。

「クヒヒ…ほぉーりーっ!」
「…なんだ。ハコワレ、あんたか」

さらさらのオレンジの髪の毛が視界に入る。
きっと、今さっきから妙に重かった理由は彼だ。
後ろから体重をかけていたに違いない。
いくら細身の彼でも、気がつかないわけがなかった。

「あんたから来るなんて珍しいね」
「そうかい?キヒッ」
「ばったり何処かで会って遊ぶのが常だからね」
「渡したいものがあったんだよ、ギヒッギヒヒヒヒ」
「渡したい、もの…」

なんだろう、ろくなものである気がしない。
僕の気のせいだろうか。
気のせいだといいんだけど…

「今日、渡さないとだめ?」
「そうだねぇ…ヒヒッ、そうかなぁー」
「まさか、生、もの…?」
「ヒャハハハハハハハ生ぁっ、なまものっ!生ものねぇ、生ものかァ!
そうか、それもよかったよなぁ…」

まさか、生ものでそんなに笑われるとは思っていなかった。
え、僕面白いこと言ったっけ?言ってない、よね…?
未だに爆笑してるハコワレを見る。

「渡すものないなら僕帰るよ」

渡すものがなくてもさっさと帰らせてほしい。
落ち着いたころにもう一度来てもいいだろうか。

「クヒッ、待てよ。」
「早くしてよ」

そう急かすな、だなんて言いながら彼が渡してきたのは箱。
正確にはピンクの箱で、黄色のラッピングがされている箱。

「は…?これ、中身は…?」
「クク…それは開けてみてからのお楽しみさ。」

恐る恐るリボンを解いていく。
妙なものだったら、そのまま切り掛かってやろうか。
そう思いながら箱の蓋を開けてみる。


……と同時に煙と爆音。

「わぁっ!」

驚いて後ろにこけてしまったのが我ながら情けない。
彼からのプレゼントだという時点で、ある程度予想しておくべきだった。
後悔しても仕方ないけれど。
放心状態の僕に、楽しそうなハコワレの声。
また今度、倍にして返してやろう。






HAPPY BIRTHDAY!
(ぐふ、ぐふふふふヒャハハハハハまさか、そこまで驚くとはねぇ!)
(……祝われてるのに凄くムカつくんだけど。)