「びな、お客さんだよ!」
「あ、えぇ。いらっしゃいませ」
今日は久々の休日。僕は友達の舜蘭さんを誘ってのお茶会をすることにしました。
「お邪魔します」
「どうぞ、入って下さい」
あまり広くはない店内ではあるけれど、三人でお茶をするには十分すぎる広さです。
今日は舜蘭さんのところの和菓子や店のケーキを持ち寄って久しぶりに話すことになりました。
後ろからちょこちょこと姉がついてくるのがわかります。
「今日は、御饅頭と羊羹を持ってきてみたんです。どうぞ、食べ下さい」
「こちらはケーキを。
あ、今お茶をいれますね。緑茶の方がいいでしょうか?」
「はいっ」
僕がお茶をいれて、羊羹を切っていると、今度は姉が話し出しました。
「舜蘭ちゃんの服かわいいね、いいなあ。そんなのきたい」
「そうですか?じゃあ今度一緒に浴衣きませんか?」
「じゃあ、約束ね。びなもくる?」
「僕は遠慮しておきます」
「なーんだ。つまんないの」
「…どうぞ、お茶です」
「あっ、ありがとうございます」
「和菓子さんの娘さんのお口にあうといいのですが…」
滅多に入れない緑茶の味は大丈夫だっただろうか。
「大丈夫、美味しいです」
にこっと笑う彼女にほっとしました。
猫舌な姉は何度も飲もうとしては諦めていましたが。
こちらの感想を聞くのはまだまだ先になりそうです。
「あと、羊羹切っておきました。美味しそうですね」
「わっ、ありがとうございます。これ、私の家で凄く人気なんです。
気に入って貰えたらまた持ってきますね」
「ありがとうございます」
「ありがとう!ねえ、舜蘭ちゃん。食べてもいい?」
見慣れない食べ物に興味津々な姉に苦笑しました。
本当にこの人はこどもみたいです。
「どうぞ、食べて下さい」
「やったあ!」
「それではいただきますね」
羊羹を口に入れると、程よい甘みが広がった。
なるほど、これは美味しい
「どうですか…?」
「とても美味しいですね」
「うん、おいしい!」
「よかった…また持ってきますね!」
「是非お願いします」
こうして和菓子と洋菓子が机に並んだ異色のお茶会は幕を開けました。
みんなでお茶会
(どうぞ、ロールケーキです)
(わあ…ありがとうございます)
(びなのロールケーキはすっごく美味しいんだよ!)