「茎くん、テーブルクロスは?」
「そ、そこに、ないかな・・・?」
「あっ、あった!ありがとう」

いつもは静かな僕の家も、今日ばかりはちょっと違った。
朝から準備した誕生日ケーキに、真っ白なテーブルクロス、そして真っ赤なリボンに彩られた庭。
上品な誕生日パーティー会場は、茎くんと僕の二人だけで飾り付けられたとは思えないほどだった。

「ほりくん、その花は?」
「Edelweiss, edelweiss,
every morning you greet me.
Small and white, clean and bright,
you look happy to meet me.
・・・って言えばわかるかな?」
「エーデル、ワイス?」
「そう、当たり。5月1日の誕生日花だよ」
「真っ白で、その、すごく綺麗だ」
「でしょ?」

僕は、自分の選んだ花が褒められたのが嬉しくなって、得意げに笑った。
それにつられて茎くんも笑顔になる。

でも、ほのぼのとしていられない!
だって、約束の時間が刻一刻と迫ってるから・・・。

「あとは、えーっと・・・」
「ケーキ?」
「そう!それ!テーブルの上におかなきゃ!」
「持って、来ようか?」
「あ、僕も手伝うよ」

キッチンへ行って、二人で一生懸命作ったショートケーキを運ぶ。
まっかなイチゴにまっしろな生クリームがとってもおいしそう!

「パーティーの準備、完了だね」

ケーキを丁寧に置いて、僕は言った。

「うん・・・。そろそろ、時間、だね」

秒針がくるっと回って、長い針と短い針が同時に動く。
約束の時間は12時。
本当だ。もうそんな時間・・・!

「茎くん、いこっ?」

僕は、茎くんの腕を引っ張って、玄関までぱたぱたと走っていく。

「うん。プレゼント、気に入ってくれるかな」
「当たり前だよ。」







HAPPY BIRTHDAY!!
(僕からのプレゼントは花束。エーデルワイスの花言葉は尊い思い出、だよ?)
(ぼ、僕、からは、その・・・パレット、だよ。どうかな。)